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NEWS 2017.12.26

【Event Report】AMD Thursday evening talk session Vol.2

 

2017年11月30日木曜日に行われた、「WEBディレクター/WEBプロデューサーセミナー」。

 

前回のVol.1(WEBエンジニアセミナー)から続いて、今回の主題は「社会課題 × テクノロジー」です。

「Webディレクターの教科書」・「Webディレクション最新常識」の著者、一般社団法人日本ディレクション協会の会長でもいらっしゃる中村健太(ナカムラケンタ)氏。プロジェクト企画からマーケティング戦略の立案、実行まで提供できるオールラウンダーであり、携わったサービスの累計利用者が3,000万人を超える魚岸利安(ウオギシトシヤス)氏。そして弊社からは社会起業家でもあるAMDグループ代表取締役の千布真也(チフシンヤ)、AMDグループWEB部門であるAMD WOWTTOマネージャー米山真司(ヨネヤマシンジ)。彼ら4人によるトークセッションを、どうぞお楽しみください。※容量の関係により、内容一部割愛させていただいています。

今回ご来場の方は、比較的若いWEBディレクターの方がほとんど。
ご知人同士の方も多いように見受けられ、そこここで雑談が起きる中、セミナーが開始されました。

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今回の第一部は、中村氏によるオープニングスピーチ。
「ディレクター、プロデューサー、マーケッター向けに寄せる形で、社会課題と、それに対してテクノロジーで何ができるんだろうね?ということで、スピーチさせていただこうと思ってます。」
リラックスしたスタイルでお話を始められ、どんどんオーディエンスを引き込んでいきます。

「今日のテーマ、『社会課題 × テクノロジー』ということで銘を打ったんですけども、一見するとあんまり関係ないように見えられがちなのが、どれだけ密接につながってるのか?ってことを、自分でやって来たこと、体験によって変わってきたことも踏まえてお話できたらなと」

「社会課題と言っても、ものすごい数あるので、一旦分解して、今回のお話しの上ではどう捉えて、且つ、その原因について僕がどう考えているのかについてお話します。社会課題というと、『多数の人が抱える大きな社会的ペインポイント(不都合・不具合)』と言えるだろうというのを基本としてます。原因については、まあ、無限にあると思うんですけど極端にまとめてしまうと、『流通する情報の質と量』が不均一を起こしてしまっているから、という風に把握していたりします。

例えば、『埋もれたスキルがある』『隠れた名産品がある』『〇〇不足だ』って、よくいうじゃないですか。
『埋もれたスキル』でいうと、『あれができる人これができる人がいる』『なのに仕事がない、雇用が足りない』と。
でも、これはそういうことではなくて、『それができる人が何処にいて、幾らで動く』って情報が流通してないから、それを使って何をやろうってことを思いつく人もいない、というのが本質なんです。
あと、『隠れた名産品』っていうのも、隠れてないで情報を出してください、っていう話で。
『〇〇不足』も『埋もれたスキル』と同じで、何かが不足してる、ではどのタイミングでどのくらいのお金を投資すればうまくいくの?って情報が足りてないし、その不足しているものを探しに行こうにも、それがどこにあるのかわからない、情報がないから……。という風に、大きな枠組みでいうと原因は全部一緒で、情報が足りてないとか、偏った状態にあることで、社会課題って生まれるんだろうなというのが中村説です。情報、つまりDataが原因ならITで解決できることって結構あるよね?実際すでに実例もあるし、その辺で活躍するプロとセッションしてみよう……という場になっております」

「当初、事例については僕自身が関わったものに軽く触れるだけで終わろうかと思ってたんですけど……」
と話されてから中村氏が手振りすると、スライドには大きく『中国ヤバイ』の文字が。ここから急速に今回のスピーチの本題へ入っていきます。

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「僕、つい5日くらい前、北京にいたんです。
というのも、株式会社ビービットさんが企画されている『ChinaTrip』っていうのが面白そうだったので、『連れてって!』って言ったら『じゃあ今週どうですか』って急に呼ばれて、行ってまいりました。

なんとなくこれまでの中国のイメージって、衛生面に問題がある・満足にネットも使えない・人と人が信頼しあえない国……みたいなところがあったと思うんです。そして、実際そういう発展途上な状態だった時期もあったんですけど、そういう国だったのはもう数年前までのことで、今は全然違う国になってるんですね。僕も実際行ってびっくりしたんですけど、デジタルプラットフォーム上に物凄い情報量が乗っかっていて、ありとあらゆるものにデジタルの『傘』がオーバーラップしてる。事業主導による『信用の可視化』と『利便性(UX)による国家変革』というものが起こっているんです。

アリペイ(Alipay/支付宝)やウィーチャットペイ(WeChatPay/微信支付)、知ってる方いらっしゃいますか? (会場、複数の手が上がる)”自動引き落とし機能がついたデビットカード”みたいなものですかね。銀行口座さえ持っていればアカウントが作れて、支払い時は自動的にその口座から引き落としてくれるシステムです。『中国は電子決済が日本よりも進んでるらしいね、すごいね』っていうのは日本でも言われますが、実際はそのレベルではないんです。今の中国では、これが90%近くの国民に普及していると言われています。
例えば、『どこかから拾ってきたでしょそれ?』って言いたくなるような使い古しの本などを売ってるような露天の店頭にも、
アリペイやウィーチャットペイのQRコードがラミネートされたものが置いてあります。
そのQRコードを読み取ると、送金画面になる。で、送金先は店主のオバちゃんのポケットの中のスマホなんですね。
それだけ普及すると何が起こせるかっていうことの答えが、ジーマ・クレジット(Zhima Credit/芝麻信用)です。

そもそもなんで電子決済が浸透したかというと。お話しした通り、中国は人同士の信頼がない国だったんで、現金貰っても毎回偽札検知器に通さなきゃいけなかったりするんですよ。
でもそれが電子決済だと、サービス提供者のアリババ・グループさえ信じていればアリペイは安心して使えるわけです。アリババが信頼できるのは国民みんな知ってるわけですしね。
その信頼を担保するってのを更に加速させるのがジーマ・クレジット・スコアです。
要はクレジットカードの、ブラックカードとかプラチナカードとかのランクと同じで、支払い能力があればスコアが上がっていく仕組みなんですね。上がっていくと、すごい特典がついてくるんですよ。ホテルに泊まる時の前払金がなくなるとか、VISAが無料になったり敷金礼金いらなくなったり。逆に、そんな便利なものが無くなると困っちゃうから、利用者は変なことしなくなるんです。
迷惑行為とか、ぼったくりみたいなことで通報されると、支払い情報と位置情報が全部紐づいてるので、スコアが下がって社会的信用がなくなっちゃうので。
結果、未来の自分の社会的信用に対しての、個人と社会での契約関係が結ばれます。
通常信用っていうのは、それまで積み上げて来たものに対してなんとなく与えられるものでしたけど、それをジーマ・クレジットが可視化したんですよ。
だから今の北京の街は、ゴミ一個も落ちてないし、お店にカメラを忘れても誰か届けてくれるし、ボーッとしてて車にぶつかりそうになってもクラクション一回も鳴らされない。
(僕のみて来た限り、という条件はつきますし、ビジネス街から離れれば違うシーンもあるとは聞きましたが。)
『なんだこれ……俺の知ってる中国じゃないんだけど……』って思っちゃう変革がほんとに起こってました」

「これだけ大規模に『デジタルオーバーラッピング(既存のものをデジタルに置き換えずに覆ってしまう考え方)』を為そうとした時に、アリババが実際やったのは、QRコードを読み取るデバイス……実際買うと、軽く数十万程度はするものですけど、あれを全域の商業施設に無償で配布したんです。まぁそしたら、使うじゃないですか。社会変革を起こそうとするならそのくらいの覚悟が必要なんじゃないかと思います」

「まとめに入っていきますと、僕らが住んでるのはやっぱり小さな島国で、それに中途半端に人口も多いんで、どうしても内需を対象に考えがちです。内需で、超高齢社会の中心となる”変化しないことを当たり前だと思っている人々”を対象に商売すると、どうしてもその人たちに合わせるしかないじゃないですか?そんなことやってて本当に社会改革なんて起こるのかな? という気がしています。
で、情報と情報の間でビジネスを起こす立場の人たちは何を考えるべきなんだろうね、という話をこれからできればなと思っています」



第二部は、中村氏の友人でもある「さかなさん」こと魚岸氏、
そしてAMDから代表千布、AMD WOWTTOからマネージャー米山が加わっての座談となります。

テーマは『時代を捉えるテクノロジー × 社会課題解決とは』。
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ディスカッションテーマとして、会場に集まってくださった方々から事前に幾つかの質問をいただいておりました。
今回は、そのうちから2つについてのお話を厳選させていただき、ご紹介致します。

Q. 「普段、どのようなタイミングで社会課題について考えたり、認識したりしていますか?」

千布: 「社会課題を意識して見つける……というのは、もちろん自治体が公募していたりもするのですが、
皆様がwebディレクションを普段されているということで出てくる企業課題をどう社会と結び付けるか? ってことを考えた方が、もっと身近な提案ができるんじゃないかと思います。例えば、お客様の売りたい商品があるとして、その商品が社会とどういう関わりがあるのか、という観点から提案をすると、それは説得力のある提案になるはずです。

具体的な例で言いますと……AMDは石川県金沢にも会社がありまして。
金沢には伝統的技術が継承者不足によって続かない、事業継承問題があるんです。
最初、金沢の会社から商品のリブランディングをお願いします、ということでお仕事を頂いたんですが、
ヒアリングして本質的な問題を抽出した結果、そちらの会社をM&Aという形で会社を引き継いで、
そこから我々の得意なプロデュースをクライアント様と進め、我々が東京で持っている流通などで販売することで、その伝統技術を継続させることにしました。
そんなふうに、まずは自分の身近な案件から、どう社会課題の解決に紐付けられるか? ということからトライしてみてはどうでしょうか」
中村氏: 「面白いですね……商品の売り上げよりも後継者不足の方がより深刻な問題と捉えたとき、両方いっぺんに解決するために販路を拡大して、ステキなところのステキな人たちに売れるようになったらそれを作ってる人たちもステキ!みたいな方向にリブランディングを切り替えたってことですよね」
千布: 「そうですね。そしてそれに責任感を持たせるために、自分たちで経営権を買って、それだけ同じスタンスでやりますよということを示す。作り手と、彼らに対する我々との関係作りの上で大切なことだと思います」
魚岸氏: 「実祭に経営権を買うところまでなかなかいかないですよね」
千布: 「マーケッターの人であればそういう仕組みづくりも得意なことだと思うので、どんどんやっていけるんじゃないでしょうか」
中村氏: 「いやあ、この話、このイベントじゃなくてビジネス誌で語っていただかないといけないような内容じゃないですか!(会場、笑い)
要は、考えるタイミングや場、という問いに対しては、誰かの課題を通してその裏側にある社会課題を考える、っていうのが千布さんの答えってことですね。何もないところで急に『よし!社会課題について考えよう!』みたいなことはない、と」

魚岸氏: 「僕の場合、地方にいる友人に呼ばれて行くぞ!となった時にあまりにも交通手段が良くなくて。その航空会社公式サイトから予約してみようとして、あれ?これは、どうやってすればいいんだろう?……って目の前の航空会社のサイトに対して落胆するわけですよ。で結局20回エラーが出て乗れなくて、その会社に提案書投げ付けに行ったってことがあって……。もちろん、その航空会社のファンだからこそやったことなんですけどね!(会場、笑い)
気付きは、結局そういうところにあるんだと思うんですよ。勿論、その会社の社長がノーと言えば無理ですけど、もし上手く行けば、
日に2便くらい航空便が増えて、日当たり400人、月だと12000人くらい行き来する人が増えることになるわけです。一番これが手っ取り早いんじゃないの? って考えちゃうんですよね。」
中村氏: 「さかなさんの場合は、自分の直面したペインポイントの裏側にある社会課題を解決したわけだね。というか、『これを上手く解決できたら、どっかしら社会にいい影響があるんじゃないか?』ってところに落とし込んでいった」
魚岸氏: 「はい。結局、地元の人たちは気づいていないんですよね。不便なのが当たり前だと思っているから。でも僕らが行くとそれが見えてくるわけです。」
米山: 「ディレクターの方はまず、日々アンテナを張って、日々の小さなところから気づきを得られるようにして、これは!というものがあったらまず行ってみるべき、という」
中村氏: 「いや、そう言うと結構ハードル高いですけどね!(笑) どっちも使えるんじゃないですか? 生活の中で気付いた不便を解決したら、自分だけじゃなく他の人たちも助かるだろうな。って考えるのと、千布さんみたいに、仕事が来たときに、儲かりたい?じゃあ儲けさせましょう!というのじゃなく、『このクライアントの売ってる商品がどれだけ/どこに拡大したら、どんなことが起こるだろう?』って考えるのと。

僕からお話するとすると、部屋にずっと閉じこもっててやらなきゃいけないことに忙殺されてる人には、社会課題について考える時間なんて絶対ないんですよ。外からの刺激がないから。だから多少無理矢理にでも時間を作って、課題に直面するタイミングを捻出するというのは一つの手なのかな、と。『今週北京どう?』って訊かれたら『はい!』って答えられるようなね。(笑)」

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Q. CSRとCSVについて、CSR依存の日本においてCSV系モデルの普及は実現可能か?可能だとすれば何年くらい必要か?

中村氏: 「CSRは『企業の社会的責任』みたいなものですね。対して、CSVは『社会的責任を果たすことが、その企業にとっての利益にもなるよ』というビジネスモデルのこと」
千布: 「本来はCSRの中にCSVの概念も入っているんですよね。CSVだけ抽出して我々は取り扱っているわけですが」
中村氏: 「それこそ、中国のアリババとかがやっているのがCSV系モデルですよね。普通それだけではビジネスにはならないけど、でもこれがこうなったらいいよね、っていうことを大上段に置いて、これでも成り立つビジネスモデルはなんだ?ってことを考えてビジネス設計してるという」

千布: 「『SDGs』ってご存知ですか? 国連が採択した、地球が抱える2030年までの17個の開発目標のことで、教育、水問題、食糧問題とか色々あって、我々企業がどうコミットしていくのか? というのが議題になってて」
中村氏: 「ほー、まさに社会課題解決ですね?」
千布: 「そう、CSR、CSVをやっているwebマーケッターたちが、これらをどうやったら循環型の持続するビジネスに結びつけて実現させられるのか?って考えているのが、このSDGsです。これ、2030年までに解決しなきゃいけない問題なので、それまでは国からお金も出るんですよ。その間約束されたマーケットなので、我々中小企業にとってもチャンスになるはずです」



最後にお二人に、「お二人が次に注目しているモノ・コト・ヒトは?」ということで質問させていただきました。

中村氏: 「では、ちょっと日本の話をしましょうか。
NTTで開発された量子コンピュータの話がニュースになってたの、見られた方っていますか? あれ、11月27日からオープンソースで開いてるんですよ。僕らは人工知能の開発とかもやるんですが。巨大なデータ演算……例えば、文章データをニューラルネットにかけて係り受け(文章中の単語同士の関係性)の解析とかしようとすると、何万語もある文章を総当たりで演算するので、凄く計算量が多くなってしまう。
最新のGPUマシンを使用したとしても、一発計算するのに1時間くらいかかってたんです。
でも、僕らもまだ使ってはいないんですが……どうも量子コンピューティングの計算スピードを聞いている限り、同じことをさせても0.0何秒とかで終わるらしいんですよ。
そうすると、人工知能を構築する過程で必要な学習のコストがスーパー安くなる可能性が見えてきていて。
いよいよもって、モデル構築されたものが、内側とかクラウド上とかで、すごくお手軽な値段で実装されるという未来が目の前に来たな……という気がしています。
なので、早速次の開発案件で実験予定だったりしています。量子コンピューティングはまさか実現するとは思ってなかったので……。
更に、実はもっと以前からIBMの量子コンピュータも開発者が使えるようになっていて。「これ計算しといてっ!」って投げると、計算されて戻ってくるんですよ。
超高いGPUマシンを使って、何時間もかけて演算するっていう手間から解放されるかも知れないね、面白いね、と思ってます」
魚岸氏: 「僕が今注目しているのは地方。特に西日本から南なんですけど。
ローカルなコミュニティが出来上がってて、地元の人たちで仕事とか信用が完結してるところに対して、さっきの”芝麻信用”の話じゃないですけど、『こいつに相談したらこういうことで助けてくれた』『お金にもならないけど、誰かいい人紹介してくれた』『いい仕事してくれた』みたいなの、それってもう目に見えてるのに、なんでそれ可視化しないんだろう? って思っていたので、それ、やろうと思ってます。

すごい雑ですけど、周りの人間5人いるとして、5人と仕事して5人とも『さかなさん、いいよ!』って言ってくれたらだいたい通るんですよ。
でも、その5人以外の人はそれを知らない。これをもっと広げるだけで、実はあの人よりこの人に相談するとこの人とこの人とこの人に繋がってて、ドラクエの『ルイーダの酒場』みたいに仲間集めてボス倒しに行ける……みたいなことがわかるだけでも、世の中だいぶ良くなるし楽しいはずなんですよね」



お楽しみいただけましたでしょうか。
「社会課題」「テクノロジー」「ビジネスモデル」が我々の想像以上に密接に関わっていくことができるということが、
中村氏のリラックスした明快なトークや、4名の白熱した会談によって見えて来たのではないでしょうか。

ご登壇いただいた株式会社BITA(ビットエー)CMO 中村健太様、エクサート株式会社CMO/PM 魚岸利安様、
並びに、ご来場いただいた皆様へ、改めましてお礼申し上げます。この度は誠にありがとうございました。

 

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